「ころしてやろうか」

きみはいつも口元を歪めて、なのにかなしい瞳をして云う。
ころして。ころしてよ。だれにもころされたくないの。ゆるやかな死にもころされたくないの。きみで終わらせてほしいの。
あたしはそう云う。なんども、なんども繰り返すやりとり。あたしは変わらない答えを変わらない答えのままに返す。


「おまえはほんと、ばかだな」

きみはかなしさに安堵が混じったような瞳をする。
狂気をしっている。
私は狂気をしっている。
きみが私をころすことはない。
私がきみをきらいになることがないように。


「ぼくのことをきらいになったら、ころしてあげるよ」
 
ほら、やっぱりきみはやさしいのだ。
 
 
(狂っているのはどちら?)